稚
実感がない。恐らくそういうものなのであろう。実感を持てる人間など本当は居ないのだろう。ただ盲信できる心の強い人間にのみ与えられた権利なのだ。しかしそれは実感と言うには余りに形が無さすぎる。僕には虚像に見えて仕方がない。
僕は心が弱くただ考え過ぎる人間なだけだと思っていた。しかしただ強欲であっただけなことに気づいた。それは余りに自己中心的で余りに冷静なものである。つまり満足出来る点が定められていないということだ。虚しい人間だ、と思う。相手が僕を満たそうとする。幸福に包まれる。それで相手への好意が増大する。その好意は恐らく見返りを求めている。相手の幸せのみを想い、見返りを求めないのを愛だと言うなら僕はまだ未熟で仕方がなく恋から先に進んだことがないのだろう。つまり幸福を与えてくれた相手に対して増大した好意の見返りを強要し続けるわけだ。僕の周囲の人間はこの拷問に耐え続けている。感謝の念と謝罪の念を込めて増大した陳腐(尊大)な好意を残しておく。
悲憤
恋人が泣いた。今日、大切な人が恋人の前から消えたそうだ。僕は複雑な気持ちと自己中心的な思考に押し潰されそうになる。なんて器の小さい人間なのだろう。
恋人はオンラインゲームにハマっている。彼女にはゲームの中にも沢山の友達がいて様々な人に盛大な愛情を向けている。僕も彼女の影響でそのゲームをやっているわけだけど彼女とやらない時は専ら1人でしかしないし、なんならそこまでログインする方でもない。
そんな自分だから彼女の気持ちがわからなかった。
先程も述べたように彼女の大切な人が消えた。その人はゲームの中の人で彼女曰く、そのゲームの中で最も大切な人だったそうだ。嫉妬した。ゲームの中という表現の中に自分が含まれているかもしれないと考え酷く怖くなった。おそらく彼女にはそういう感情もそういう考えすらもない。
彼女は号泣した。明日確実に目が腫れるほどに。しかし僕には全く理解が出来なかった。もちろん彼女の交友関係やゲームの中で大切な人というのを否定している訳では無い。自分にはそういう人もおらず理解が出来ないと言うだけだ。
それでもどうしても哀しくなってしまう僕に彼女は言った。「君にとって俺(彼女の一人称)が居なくなるようなもんだよ。」
言いようもない不快感を感じた。ああ、僕にとってはあなたがいなくなるようなものがゲームの中の人が居なくなることと同じか。それは僕がいなくなることはあなたにとってはなんなんだろう。胸が苦しい。息ができない。
ふと気づく。自らが理不尽であることに。彼女はただ仲の良かったゲーム友達を失って悲しんでいるだけではないか。僕はなんて器が小さいんだ。僕はなんで自己中心的な考え方しか出来ないんだ。
そんなことを思うが全てを自分のせいにできるほどの覚悟も僕にはなくて彼女への悲しみと自分への怒りが交互に来ている。
どうにか書かないと潰されてしまいそうだった。
彼女に言ったら傷つくだろうな、怒るだろうな、と思うことは何となくわかる。
それを全て言わないようにすると僕はただの相槌マシーンに成り下がった。彼女と意見が食い違った時、僕は言葉を飲み込む。言葉は肥大して不安へと形を変え僕の心へのしかかる。
今日は彼女と花火をした。久しぶりの2人きりの時間は満ち足りたものだったし、とても楽しかった。
しかし今日という日は彼女にとって僕とすごした楽しい日ではなくて大切な人が居なくなった悲しい日なのだろう。なんと不幸なことか。彼女の不幸が僕には理解できないどころかその理解できない不幸に僕との幸福が上書きされすり減らされてしまったわけだ。
彼女にも自分にもイライラしてしまうせいでどちらへの嫌悪も消えない。この気持ちを伝えることは彼女にとって煩わしいことでしかないのだろう。悲しむべきことでもあり怒りも湧くだろう。それらを受け入れる勇気もないまま僕はまた意見を押し殺しここでしか自己を表現出来ない。
正体
何不自由なく生活しているはずの僕がこんな事になってしまった原因はなんだろう。僕は親の愛も周囲の人間の優しさも感じることが出来て幸せに育てられた。何の変哲もない1日、僕にとっても誰にとっても(その日が特別な日である人は大勢いるだろうが)平凡な1日の中で僕は違和感を感じた。
違和感は増幅し続け今も僕の中で成長と分裂を続けている。ある人は言った。
「お前の状況で押し潰されそうだなんて甘ったれだ。」
その通りだと思う。僕は幸せな環境に置かれていることが耐えきれないのだと。僕自身はこんなにろくでなしで出来ることなんてないのにこんな生活を送っている。
日々を生きるのが辛い人に僕の言葉は届かないのだと思う。恵まれた日々をのうのうと暮らし、幸せに耐えきれないと言う。そんな人間を恐らく誰も許してくれない。
不幸ならいいのに。そう何度も思いその度に自分の人間としての出来、その劣悪さに絶望し自己嫌悪を覚える。数秒前の自分に本気で怒りを覚え全てに謝りたい気分になる。
誰にも届かない言葉はおそらく自分にすら届かないのだろう。ここまで失礼な思考をし続ける僕を許してくれとも思わない。ただ蔑めばいいと思う。皆で蔑んで蔑んで蔑み続ければ僕はいつか、ちり紙を捨てるのと同じように肉体を捨てることが出来るのではないか。
くだらない考えだ。ここまで愛を受けた僕がそんなことが出来るはずないのだ。あくまで僕の大部分は幸福な日常と幸福な思考に満たされている。ただ一部分だけの違和感に苛まれていることに自分の弱さを感じる。
どうしようも無く同じテンポで進んでいく日々に僕は何を見い出せばいいのだろう。何かを生み出せる訳もない。途方もない不安に急き立てられていることから目を逸らし、ダラダラと日々を送っている。僕は何もこの世に残せない。
僕の好きな物は全て天才が作っている。それを愛しく思う度に天才の技量を見せつけられ、自分の価値に絶望する。
好きな本も好きな映画も好きなラジオも作り上げているのは天才達で想像する度に僕には無理なことだと思い知らされる。
ただ憧れだけは捨てきれず文章を書いてみたり映画の手法について調べてみたり僕が話せるエピソードを想起してみる。
稚拙な文に、想像力に、トーク力に、絶望する。その度こんな事して何になる、と自身の可能性のなさに気づく。
したいことを一回やってみるということは自分の価値を認識することと等しい。自分の苦手なことに気づき出来ないことが増えていく。それは元々できるはずが無いものであるがやってみない限り可能性は持続され続けるのだ。
年齢を重ねる度出来ないことばかりが増えていく。分からなかったことが出来ないことに変わり自身の可能性を狭めていく。
僕には彼女がいる。付き合っている内に驚きばかり増えていく。バク転ができると知った時、美術で全国に行くと言った時、僕の知らない知識を幾つも教えてくれた時。様々な長所を持った彼女に激しく嫉妬し、どうしようも無く愛しく思う。この子は可能性を広げていける子だと思った。分からないことができることに変わって歳を重ねる毎に成長して行くのだろうと。僕の真逆に位置する彼女の生物としての優秀さにひどく感動する。
僕が気づいたことは気持ちをわかって欲しい人と愛する人は違うということだ。わかって欲しい人は同じような状況に置かれ、絶望している人だ。ただ、僕はその人を愛せない。僕は僕を嫌いで仕方がないから僕と似た状況のその人の本質を好きになれない。逆に愛する人には気持ちをわかって欲しくない。僕の心の中は汚いものにまみれていて汚してしまいかねない。
こんなことを自分で言ってしまうことは耐え難いほど恥ずかしいが、僕の長所というのは優しさという1点でしかないのではないか。
自己に絶望し、他者の優秀さに感嘆しているからこそ自己犠牲を容易にでき、他人に手を差し伸べることが出来るのではないか。それさえ無くなってしまえば僕は空っぽになってしまう。だから自分を嫌いなままでいる決意をはるか昔にしたのだ。
僕なりの優しさは誰かにとってはそうでは無いかもしれないがわかって欲しい人や愛する人には優しさとして伝わればいいと願う。
僕の文章力ではまとめられない事が多すぎて再び絶望している中このまま続ければ自己の才能の無さに余計哀しむことになるのでここら辺で終わろうと思う。
最後に、僕がこれを読んでいる人や周囲の大切な人に伝えたいこと。あなたが僕にとって意味を成す存在である限りあなたを肯定し続ける。たとえ全世界があなたを否定してもあなたの味方であり続けるということだけだ。
■
自分と出会ったことですこしでもその人の人生が豊かになったなんてことあるのだろうか
自分は沢山の人に人生を豊かにしてもらってなんとか生きながらえてる
自分と出会って良かったって思ってくれる人が少しでもいたら僕にも存在意義が生まれるのかなとか
僕の大切な友達の葬式に行った時からずっと忘れられない光景と何回も吐き出したくなる感情がある
話したことも無い関わりも一切ないやつらがずっとその子と仲良くて一緒に遊んでた子達と同じように泣いていて
あの子はもしかしたら沢山の人に惜しんでもらえて嬉しかったのかもしれない
でも僕にはその光景が気持ち悪くて勝手に泣くのを我慢してた
泣いて欲しかったのかな
僕はひねくれてて純粋にあの子をおくれてなかったな
あの子の葬式で思ったんだ
僕の葬式には僕のこと好きで居てくれた人だけ来て欲しいなって
そうしたら僕の価値が初めて定まるんじゃないかって
人の価値って死ぬまで定まらないでしょ?
こんなこと言ったらあの子は価値を定めてもらえなかったって言ってるみたいだけど命日はあの子の家に集まってみんなで毎年バカ騒ぎするんだ
あの子のこと大好きだった人だけで
少なくとも俺らは君のこと大好きだよって思いながら
他にも君のこと好きな人いっぱい居るかもしれないけど君の価値の最低値はこんなに高いんだよって
だから僕は死んだ時の価値を高めるために生きるんだ
僕は君のことも君のことも大好きだよ
だから君の存在価値は0じゃないよ
散乱
想いが強くなっていくからこそ反動が来る
自分が嫌いで誰かにずっと愛してもらう自信が無い
依存してしまってすぐ不安にもなって孤独にも耐えられなくなる
ベランダに出る
ベランダから見えるものといえば真っ暗な田んぼとたった一つぽつんと光る街灯
自分はその街灯が好き
何も無い地面を照らす事が暗闇をもっと深めてるようで
街灯に照らされてみようと思うけど何故か行けなくて
自分ではあの健気で象徴的な光は似合わないと思ってしまう
あなたが街灯の下に来てくれれば僕はそれを撮るだけで苦しみを上に向かって吐き出すことが出来るのに
最近は暑苦しさで息が出来ないし脳が蒸されてるみたいで何も考えられなくなる
どうせ信じないだろうけどこれから先1人でいいしあなたに何されても一生想い続ける自信はあるよ
孤独恐怖症
死んだ時に涙を流してしまう知り合いは複数居るだろうけど自分が死んだ時涙を流して欲しい人なんて1人しか居ない
その人に泣いて貰えないだろうなって思うのがしんどすぎてまた映画に逃げ込む
暑さの中なんとも言えない気持ち悪さに見舞われ胸がムカムカする
エアコンをつけていないと不安が胸に溜まっていくようで吐き気
勉強から逃げていることへの引け目とストレスでまた気分が悪くなる
夏が終わればこの気持ちは終わるかな
次の症状を待つだけ
あなたに自分の目に届かないところで大好きだと形にして欲しい
あなたに僕に伝わらないように大好きだと考えていて欲しい
伝えられるものは見せかけに感じてしまって顔色を伺われているだけなのかな
あなたの言葉と態度でズレを感じる
本当に僕のことが好きですか?
怖くてあなたに言えないこと誰も見ない気持ち悪い文章に載せる
会って抱きしめるだけでいい、会ってあなたの匂いを感じるだけで
人は声を最初に忘れて匂いを最後まで覚えてるらしいよ
聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚の順に忘れるんだって
だからあなたの声をできるだけ長く覚えていられるように沢山聞かせて欲しい
あなたの顔をいつでも思い出せるようにいっぱい見たい
あなたを抱きしめる感触をいつまでも手に残すために沢山ハグをしたい
まだまだ少なすぎるあなたとのキスをきちんと感じ続けられるように
あなたの存在を絶対に忘れないようにあなたの匂いを体に覚えさせておきたい
自分の頭の中の気持ち悪さが形にしたらますます大きくなって誰にも見せれないけど残さないと書かないと壊れてしまいそうだから
今日も自己満の文章を書いた
逃避
久々の憂鬱
孤独と不安が途切れることは無いが以前憂鬱に陥ったのはすごく前のことのような気がする
ガンガンなる頭痛、寒気と共に出る汗
深く考える 誰も気にしないこと
頭を覗かれたら避ける友達は何人だろう
寝不足の倦怠感と憂鬱の頭痛を風邪だと言い聞かせる
僕はきっと普通にも異常者にもなれずどちらからも敬遠されるような存在だ
残念なことに中途半端はどちらにもなりきれる
普通を演じて生きて死にたくて死にたいから生きるしかなくて生きたくて謝りたい
誰も悪くない、多分自分もだから謝りたい
涙を流せば溢れたものは外に出る訳じゃなくて、出た分が倍になって入ってくる
だから泣くのは嫌い
暗い映画と辛い映画が救いなのは泣くのと反対に吐き出せるから
身体中に分散されて住み着いているものが胸に集まってきて辛い内容にも胸の詰まりにもきつくなってため息をつく
その瞬溜まったものが出ていく、ただの空気でただのため息だけど確かに黒ずんだ孤独も理不尽も憂鬱も出ていく
何も考えれなくなってぼーっとしながら映画を観る
映画じゃなくて自分のことを考える
世界観だけでもくすんでたら浸ることが出来るやはり映画が好きだ
文章は向き合うもので映画は発散するもの
取り憑かれたままで生きていきたい
死ぬ勇気もないから本当にもしもだけど
もしも僕が死んだら僕を想って泣いてくれますか
慣れたのは僕がいない生活
僕はいなくて生きていける
今僕が切り出したら二つ返事でいいよって言うのかな
比重がまず違う
あなたの好きを取り出して持って確かめたい
僕のは柔らかくて暖かくて手応えがしっかりしててずっしり感じる重さだよ
僕の中で唯一濁ってないから見せたいけど
結局同じだけを求めてる
口に出さないからまし
ただ書くだけでマシになる